障害厚生年金との調整

差額支給される場合があります

傷病手当金をもらうことができる人が、同一の病気又はケガ及びこれにより発した病気につき厚生年金保険法による障害厚生年金をもらうことができるときは傷病手当金は支給されません。障害厚生年金のみが支給されます。

ただし、そのもらうことができる障害厚生年金の額(障害厚生年金と同一の支給事由で国民年金法による障害基礎年金をもらうことができるときは、障害厚生年金の額と障害基礎年金の額との合算した額)を360で除して得た額が傷病手当金の額より少ないときは、その差額が支給されます。

なぜ、差額が支給されるかというと、障害厚生年金を受給できることになって傷病手当金が全部支給停止となると、もともと受給していた傷病手当金の額よりも減ってしまうことがあるからです。今までもらっていた傷病手当金の額が障害厚生年金をもらうことができるようになって減ってしまっては意味がないので、今までもらっていた傷病手当金の額は保障されるようになっています。


傷病手当金と障害年金の調整

具体的に金額を計算してみます

【例】
傷病手当金の1日の金額・・・8,000円
障害厚生年金と障害基礎年金を足した金額・・・180万円

上記計算式により、障害厚生年金と障害基礎年金を足した金額である180万円を360で割算します。
180万÷360=5,000円

計算の結果は5,000円です。

傷病手当金の1日の金額はこの例では8,000円ですので、障害厚生年金と障害基礎年金を足した金額を360で割算した金額である5,000円よりも多いです。したがって差額が支給されることになります。
8,000円>5,000円
傷病手当金のほうが多いので差額支給。
8,000円-5,000円=3,000円

→この例では、3,000円が傷病手当金として支給されます。

障害基礎年金はもらえない場合の計算

【例】
傷病手当金の1日の金額・・・6,000円
障害厚生年金の金額・・・126万円
障害基礎年金の金額・・・0円

上記計算式により、障害厚生年金の金額である126万円を360で割算します。
126万÷360=3,500円

計算の結果は3,500円です。

傷病手当金の1日の金額はこの例では6,000円ですので、障害厚生年金の金額を360で割算した金額である3,500円よりも多いです。したがって差額が支給されることになります。
6,000円>3,500円
傷病手当金のほうが多いので差額支給。
6,000円-3,500円=2,500円

→この例では、2,500円が傷病手当金として支給されます。

差額支給されないケース

傷病手当金の1日の金額が障害厚生年金と障害基礎年金を足した金額を360で割算した金額よりも少なければ差額支給されません(障害厚生年金と障害基礎年金の受給開始以降の傷病手当金はもらえません)

【例】
傷病手当金の1日の金額・・・4,500円
障害厚生年金と障害基礎年金を足した金額・・・180万円

上記計算式により、障害厚生年金と障害基礎年金を足した金額である180万円を360で割算します。
180万÷360=5,000円

計算の結果は5,000円です。

傷病手当金の1日の金額はこの例では4,500円ですので、障害厚生年金と障害基礎年金を足した金額を360で割算した金額である5,000円よりも少ないです。したがって差額は支給されません。
4,500円<5,000円
傷病手当金のほうが少ないので差額支給されない。

→この例では、障害厚生年金と障害基礎年金の受給開始以降の傷病手当金は支給されません。

併給調整されないケース

傷病手当金と障害年金が調整されないケースがあります。
①別傷病で傷病手当金と障害年金がもらえるケース
②障害基礎年金のみが支給されるケース

①別傷病で傷病手当金と障害年金がもらえる場合は調整されない

傷病手当金と障害年金が調整されるのは同一の傷病で支給される場合です。それぞれ別傷病で傷病手当金と障害年金が支給される場合は調整されません。例えば、うつ病で障害年金を受給していた人が、ケガによって傷病手当金をもらえる場合はそれぞれ別傷病ですので調整されません。

②障害基礎年金のみ支給される場合は調整されない

傷病手当金と障害厚生年金は調整されますが、傷病手当金と障害基礎年金の場合は調整されません。ただし、障害厚生年金と障害基礎年金の両方が支給される場合はセットで傷病手当金と調整されます。

これから傷病手当金を申請しようとする人で障害厚生年金をもらえるかもしれない人は先に傷病手当金を申請するといいでしょう。なぜなら、障害厚生年金の裁定請求は時間がかかる上にもらえない可能性もあるからです。

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